監査二部門の梅本です。今回のテーマは、「修繕費」と「資本的支出」の取り扱いです。
建物や建物付属設備、機械装置などの固定資産を修理した場合について、「修繕費として全額を損金計上する」か、「資本的支出として減価償却により耐用年数で損金計上するか」、というのは実務で非常によくご質問をいただく論点になります。
 
当然、同じ修理代を支払ったのであれば、より多く損金計上したいと思う方がほとんどではないでしょうか。そのための判断基準を簡単に解説していきたいと思います。
 
大前提として「修繕費」「資本的支出」の考え方から見ていきましょう。これにぴったり当てはまれば、悩む必要はありません。
 

修繕費

維持管理・原状回復のために要した費用です。あくまでも定期的なメンテンナンスや、資産を元々の状態に回復するためにかかる費用になります。法人税基本通達で修繕費に含まれる費用として、次のような費用の例示があります。
・建物の移えい又は解体移築をした場合におけるその移えい又は移築に要した費用の額
・機械装置の移設に要した費用の額
・地盤沈下した土地を沈下前の状態に回復するために行う地盛りに要した費用の額
・現に使用している土地の水はけを良くする等のために行う砂利、砕石等の敷設に要した費用の額

資本的支出

資産の価値や機能を高めるための支出で、資産の耐用年数を伸ばす性質のある支出です。法人税基本通達では、次の3つの資本的支出になる例示を挙げています。
・建物の避難階段を取り付けた場合
・用途変更のための模様替え、改造・改装
・機械の部品を品質や性能の高いものに取り替えた場合

 
どうでしょうか、実際には上記のような例示に当てはまらずに迷うケースが多いと思います。そういった場合には、次のような基準で判断することをおすすめします。大まかな区分として3段階でみてみましょう。
 

まずは第1段階の判定です。
・金額が20万円未満である
・修理改良等の周期が3年以内である
これをどちらか満たせば、内容を問わず修繕費です。

次に第2段階の判定です。
・1に該当しなかった支出の内容について、修繕費か資本的支出か明らかでない部分がある
・明らかな部分があれば、それぞれ修繕費か資本的支出として処理します

最後に3段階目です。第2段階で修繕費か資本的支出かどうかが明らかでない部分についてです。
・金額が60万円未満である
・修理、改良等に係る固定資産の前期末における取得価額のおおむね10%相当額以下である
これらのどちらかを満たせば、修繕費です。

 
税務上はもう少し細かい判断が必要なのですが、これぐらいを押さえておけばほぼ問題ないでしょう。
次回は、実務上よくあるケース、間違えやすいケースとして修繕費と資本的支出の具体例を挙げながら解説していきたいと思います。

  
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